0921

9月21日―



それは僕らにとって特別な日。
なんてったって僕ら『TOKIO』が産声をあげた日やから…。
やからとても大切な日。


何をするわけでもないけど、デビューしたあの日の事を思い出して、ちょっと浸ってみたり。
色んな人たちが「おめでとう」って言うてくれて、嬉しかったり。
ある意味、一年で一番大事な日。



やけど、今年の夏の忙しさは半端やなかった。
メンバー全員がドラマや舞台を抱え、加えてライブハウスツアーも行われた。
もちろんレギュラー番組も通常通りあるし、ライブグッズ用の撮影やインタビューに、雑誌の取材、新曲のレコーディングや歌番組への出演もあった。


さすがにキツそうなメンバーもおったけど、ものすごく充実していたと思うし、みんな…もちろん僕も…大きく成長できたと思う。



やから、メール一本しか出来なくても、寂しくなんかない。
ちゃんと、ココロが繋がってるから―…。




そんな事を考えながら、メンバーへのメールを打った。
保存しておいて、日付が変わった瞬間に、一斉に送信する。
きっと、同じことしてるヤツもおるやろうなぁ…早く返事来ぇへんかなぁ…。
アカン…顔がニヤける…。
っちゅーか、大の男同士でこんなん…傍から見たらキモチ悪い?!



ブルブルッ…。



そう思っていたら、早速携帯が震えた。電話や…。
表示された名前を見て、口元が緩むのを感じた。



「もしもし?」
『もしもーし』
「早いな〜」
『アナタのことだから、来るだろうな〜って思ってたよ』
「そら、な。一番の記念日やもん」
『ま、あと10分以内には松岡からも来んでしょ』
「やろうな」


そう言って、二人で笑い合う。
そう、十数年前、一番最初に仲間になったヤツと…。



「12年やね」
『12年かぁ…』
「早いような、長いような…」
『いや、すっげー長かったよ。すっげー色んなことあったし』
「そやなぁ…年も取ったしな」
『もう30過ぎが3人…っつーか、長瀬があと…2年で30?!松岡は来年…信じらんねぇ!』
「そっか、もうそんなんか!うわ〜…」
『シゲはもう36だからぁ〜♪』
「なにを歌っとんねんな!」


電話の向こうで、ひゃっひゃっと笑う声がした。
『ごめんごめん…っつか、この話やめねぇ?』
「せやな。ちょっと凹むな…」
『でも、12年って言ってもまだまだだよな』
「人間で言うたら、やっと小学校卒業やもんね」
『これから、20年30年とね』
「5人で成長していけたらええな」
『あ、そうだ』
「ん?」
『えっと…さ…』


山口が急に言いにくそうに口ごもった。
そんな事は滅多にないから、なんだか不安になる。
何か…悩み事でもあるんか?そう言おうとした時、意外な言葉が聞こえてきた。


『ありがとう、な』
「へ?なにが?」
TOKIOを作ってくれて』
「な、なんやのん?いきなり?」
『や、ほらいつかアナタが言ってたじゃん。誕生日はお腹を痛めて産んでくれた母親に感謝する日でもあるって』
「あぁ…そういえば…」
TOKIOの礎を作ったのはシゲだからさ、TOKIOの産みの親はシゲかなぁ…って』
「…何を言うとんねん」



確かに元は僕が始めたこと。
山口がベースを扱うと知って、一緒にやろうと誘った。
そして一人、また一人と仲間が増えて…。
城島茂バンド”から“TOKIO”になった。



『でも、みんなそう思ってるよ。アナタに感謝してる』
「…TOKIOは僕だけが作ったんちゃうよ。僕ひとりやったら出来ひんかった。みんながいたから…ここまで来れたんよ」
『確かに、育ててくれたのは、ファンの子やスタッフや事務所の人達や…色んな人達だよ。みんながいたから、5人で成長してこれた。でも…元はやっぱりアナタだから…今日ぐらい素直に受け取っといてよ、俺達の気持ち』


山口・太一・松岡・長瀬…4人の顔が目に浮かんだ。
強い絆で結ばれた、かけがえのないメンバー。
誰よりも大事に思ってきた人達…その人達が同じように僕のことを思ってくれていたなら…それほど嬉しい事はない…。
そう思ったら、もう何も言えなかった。


「ありがとぉ…」
『あ、泣いてる?』
「泣いてへんわ!」
『ははっ!じゃーそろそろ切るよ。あんまりアナタを占領してると後が怖いし…』
「え?」
『いやいや…じゃ、おやすみ』
「ん、おやすみ」



電話を切った後、画面を見ると、4通の未読メールがあると表示されていた。
それを見た瞬間の僕の顔は…誰にも見せられない…。

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…間に合わなかった(汗)でも、ちょっとズルして21の日付でUPしちゃいます(爆)
ごめんなさいっ!書かなきゃと思い立つのが遅かった…。
推敲も何もあったもんじゃないですが…一応記念話です。
TOKIO12周年おめでとうございます!!