真夜中の薔薇祭り記念品

私も参加させていただいた真夜中の薔薇祭り(茂松コンビ祭)が閉幕しました。
リレー小説にも参加させていただいたのですが、出来上がった作品を記念に頂いて参りました。いきなり子供になっちゃった茂さんと、そのお世話をする松岡さん…という設定です。
よろしければご覧下さい。


ちび★ぱに



Writer:鳳樺琥珀@首謀者

オレほどになるとさ、まぁ大体のことは臨機応変に対応できるようになっちゃうわけよ。
でもさ、世の中人間の力じゃどうしようもないことだってあるんだよね。
たとえば?うん、たとえばさぁ、


朝起きたら、目の前にちっちゃくなったうちのリーダーがすやすやと眠ってるとか。


今のオレの現実がまさにそれ。
まぁリーダーっていうのはすぐに分かるのよ。
でもさ、なんでリーダーがちっちゃくなってるのかってことは分かんないのよ。
此間オレがちっこくなった元凶の薬はきれいさっぱりゴミ処分したから長野くんは多分関わってないと思う。


とりあえず、オレは昨日の晩久しぶりにリーダーと会って酒飲んだわけよ。
ついでにオレの手料理を振舞ってやって、うちに泊めてやったわけよ。
・・・・何?オレ別に変なもんリーダーに食わしてないし変なことリーダーにしてないからね!!


・・・・カルキ臭い水道水飲んでちょっと頭を冷やす。んでもって悪い予感。


このちびっこリーダーさぁ、もしかして精神まで子供になるんじゃねーの・・・・!?


オレの嫌な予感は嫌なぐらいによく当たるから余計に気になる。
前回オレが着てた服あるね、よし。ならリーダーにもそのまま流用できるだろう。
みんなロケっぽいから今回は!できるだけオレひとりの力で解決しようと腹をくくって、とりあえずオレはちびっこリーダーを揺すり起こす。


「ねぇリーダー、起きなよ!何あんたちっこくなってるわけ?」




Writer:山ゆり
「・・・ん・・・」
そう言ったものの、ちびっこリーダーは起き上がろうとしなかった。


・・・え?ちょっと待てよリーダー。
いつものリーダーだったらここで起きてるはずよ。
何で起きないの・・・!?
ますます嫌な予感は募った。


「ちょ・・・リーダー・・・リーダー・・・?起きてよー・・・」
なんかオレかなり情けねぇな、とちょっと冷や汗が流れる。
一方リーダーは目は開けていないものの、目をこすっていた。
「なんやぁ・・・うるしゃいなぁ・・・」


ん・・・?今この人・・・いつもと全っ然しゃべり方が違う気がするのはオレだけ・・・!?


「リーダー!何あんたちっこくなってるのって聞いてるの!」




Writer:木葉
俺の質問には答えず、と言うか多分聞いていないんだろうこの様子じゃあ。リーダーは目をこすりながらゆっくりと身体を起こした。
それから俺に気付いてこっちを見てくる。
「おはよ」


とりあえず声をかけてみたけどリーダーはぱちぱちとまばたきをしてジーっとこっちを見ている。


「リーダー?」
「・・・おにいちゃんなんなん?」
「何言ってんの?俺だよ俺、松岡。寝ぼけてんじゃないよ」


思わずおでこを叩こうと思ったけど、流石にこんなにちっこいとちょっと叩けない。くそ、手が疼く。リーダーは俺を見ては小首を傾げてる。


「ぼく、まつおかなんてしらんもん」
「何ふざけてんだよ!俺だよ!!松岡昌宏!!〜〜〜マボだよ!!!」
「マボ?」
「そう!!」
「マボ〜。ぼくしげるいうんよ」


・・・嬉しそうに自己紹介をするリーダー。でもよく分かった。この人はよりにもよって、そうよりもによって記憶まで無くなってんだよ!!いや、本当に無くなってるのかそれとも小さくなって記憶もその当時まで戻ってるのかまでは判断付かないけど。
俺1人でこの事態を乗り切ろうと腹をくくったけど、かなりきつい事になりそうだ。




Writer:風音
「えっと…茂くん」
今さら「茂くん」なんて呼び方すると、かなり照れくさいけど、仕方ない。


「なあに?」「そのままじゃ風邪ひいちゃうから、とりあえずお洋服着ようね」
俺は早々と用意してあった、俺がちっこくなった時の服を差し出した。もたもたと服を着ようとするリーダーを俺も手伝う。


「あ、茂くんシャツが後ろ前反対だよ」
「あれ?」
照れくさいのか、えへへと笑ってこくんと首を傾げるリーダー。
か、かわいい…。
俺はシャツを着せ直しながら、口元が緩むのを抑えられなかった。
俺が小さくなった時、リーダーもこんな気持ちだったんだろうか…。




Writer:木葉
とりあえず着替えを済ませて今はお食事タイム。リーダーは俺の作ったご飯を美味しそうに食べている。リーダーの小さい手でも食べやすいようにと工夫をしたけど、それでも手に余るようで四苦八苦しながら食べている様子は正直言って可愛すぎる。ふと見ると口の周りや手が汚れている。


「茂くん、ちょっと食べるのたんまね。お口とおてて拭くから」


置いておいた布巾で手早く口と手を拭くとリーダーは口を触って手をじーっと見てニパリ


「ありがとぉ、マボ」


可愛い!!俺が小さかった時はリーダーの暴走振りが許せなかったが、もしこんな感じだったのなら、ちょっとは許せてしまうかも・・・〜〜♪
ちょっと妄想入っていたら携帯が鳴った。いや〜な予感がして慌ててディスプレイを見れば“山口達也”の表示。あの人は今仕事中のはずで今この時間に俺の携帯に電話をかけてくるはずは無い。


「はい、兄ぃ?どうしたの。仕事じゃなかったっけ?」
『仕事中だ。なー松岡、シゲになんか無かったか?』
「なっなんかって何よ!?」
『何と言われても困るが・・・何かだ。お前今日シゲといんだろ?シゲに代われ』
「り、リーダーなら今寝てるよ。結構飲んじゃったみたいで爆睡中」


かなり焦ってどもってしまうがばれないだろうか?つーか、なんで分かるわけ?この人!?常々リーダーに関してだけは色々と常識が通じないとは思ってたけど、ここまでいくの!?


『シゲが爆睡?本当にか?ウソついてんだったら・・・』
「ほ、本当だって!!」
『まぁいい。仕事終わったらそっち行くからな』


その一言を残して電話は切れた。こえー!!今のリーダー見たら兄ぃ絶対に切れるよ。んで殺される!!!


「マボ〜どないしたん?」
「どわっ」


いきなりのどアップリーダーに思わず後ずさる。リーダーはびっくりしたみたいで目をパチクリ。


「あぁごめん。食べ終わったんだ」
「おん。おいしかった〜まぼ、ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした」


とりあえず、今は忘れる事にしよう。うん、考えてたらおしまいだ・・・




Writer:風音
とりあえず食器を下げ、ちゃちゃっと洗う。
こんな時でも、きっちりとやる事はやってしまうのは、さすがA型だなぁ…と自分でも思う。
拭いて食器棚にしまって、よし完了!
と、その時、リビングの方でリーダーの声がした。


「あ〜わんちゃんやぁ〜v」


見ると、ジャズとマリブがリーダーにじゃれ付いていた。
あいつらにもエサと水をやっておいたんだけど、食い終わって退屈して出てきたんだろう。


「ええ子ええ子♪」
リーダーが小さな手でジャズの頭を撫でる。
マリブが嫉妬したのか、リーダーに飛びついてぺろぺろと顔を舐める。
ぺたんと尻餅をつきながらも、無邪気に笑うリーダー。


か、かわいい…。


どんな感動的なドラマでも、どんなに面白いバラエティでも、子供と動物には敵わない…とはよく言うけれど。
それって本当だなぁ…なんてしみじみと思ってしまった。


まぁ、この状態じゃ散歩にも行けないし、運動になって丁度いいか。リーダーも楽しそうな事だし…。
っつーか、この画、最高じゃん。写メ撮っておこっかな♪


…って、こんなのほほんとしてていいんだろうか。。
いや、いいワケないだろうけど。


とりあえず・・・・・・・・・・・・・・・1枚だけ♪




Writer:木葉
一枚だけと言っておきながら俺はいったい何枚撮っているんだろう・・・。携帯で数枚、その後デジカメでも何枚も撮ってしまった。
・・・カワイイリーダーが悪いんだ!!そのリーダーはと言えばジャズとマリブを遊びつかれてお寝んね中。ジャズを枕、マリブを腕枕にすやすやとそりゃまぁ幸せそうに寝ている。
「あれま、汗かきまくりじゃん。兄ぃみてぇ・・・」


遊びまくった挙句に湯たんぽが2つだからなぁ。リーダーの前髪は額にぺっとりとくっ付いている。タオルでそっと拭き取ってあげるとむににと唸ってからマリブにさらに顔を埋めた。


ピンポーン♪


どっかに吹っ飛んでいたらチャイムが聞こえた。どうやらあのお人が来たらしい・・・試練の時だ、俺!!




Writer:reila
チャイムが鳴って一旦は部屋を飛び出したものの、俺は腹を括りかねて廊下で右往左往していた。
今兄ぃを家に招き入れて小さくなったリーダーを目撃されたら、俺は無条件で綺麗な蓮の花が見える場所まで送り届けられるだろう。寧ろ生還出来るか判らない。
いっそ此処は居留守で乗り切ってしまおうか。ドアには鍵も掛かっている事だし、暫く待っても応対が無ければ兄ぃも諦めて帰ってくれるだろう。そうだ、そうしよう。俺はあの電話の後、リーダーを起こしてふたりで外出したんだ。俺達は今家の中にはいないんだ。そうなんだ、きっと……


「松岡」
「っぎゃあああぁあぁぁ!!」


過剰な現実逃避(回避とも云う)を果てしなく念仏のように唱え続けていた俺をあっさり裏切るかのように、俺の右肩に、ぽん、と悪魔の掌が置かれた。


「どっ、どどど如何やって入って来たのよ兄ぃ!鍵掛かってたでしょ玄関!!」
「んなもんピッキングしたから楽勝」


いや其れ犯罪だから!そんな鮮やかに針金一本見せられても!


「で、シゲは何処だ?」
「うわ、ちょっと待って其の前に話が!ちょっと待ってー!!」


俺の絶叫混みの制止も虚しく空振り、兄ぃはずんずんリビングへと歩を進めて行く。
そしてついに。


「………松岡ぁ?」


ジャズとマリブに埋もれている小さな生き物を見留めて、兄ぃは俺に背を向けた儘、首だけ動かしてこっちに笑顔を――但し両眼の真芯だけ確実に笑っていない――爽やかさ完璧なアイドルスマイルを、くるぅりと、向けた。



追伸:ひらひら舞い散る蓮の花びら(紫色)は、とても美しかったです。




Writer:木葉
ずたぼろにされて息も絶え絶えになったころ、ようやく俺は兄ぃから解放された。今は兄ぃに命じられるがまま、メシを作っている。
手っ取り早く、腹に溜まりそうなものを2・3品上げて持っていくと兄ぃは俺に向けたアイドルスマイルとはまったくもって別物の笑顔でリーダーの髪を梳いている。
「松岡、メシは?」
「はい、とりあえずこれで勘弁してよ・・・」
「しゃーねぇな」


いいながらも兄ぃは既に小脇に抱えてがっつき始めてる。ほんと食べるの好きだよね・・・。リーダーはと言えば腕枕にしていたマリブが動いちゃったからもぞもぞと動いてる。そしたら今度は枕になってたジャズまで動いちゃってゴンとちょっといい音がして頭が落ちた。そうなれば大抵の奴は起きるわけで、例に漏れずリーダーもぶつけた所を押さえながら起き上がってキョロキョロしている。


「大丈夫?」
「マボ?」
「うん。頭、痛い?」
「平気!」
「そ?えらいえらい」


頭を撫でてあげるとえへへと笑う。ホント可愛い!!


「松岡?」
「はっはいぃぃ!!!」
「マボ?だぁれ?」
「えっと・・・」
「俺は山口達也。達也って呼べばいいぞ」
タツヤ?ボク、シゲル〜♪」


兄ぃはリーダーを肩車をして遊んであげてるけど、俺を見るその目はまったく笑ってない。とりあえず気付かないフリで済まそう、うん、そうしよう!!後のことは後で考える、じゃないと生きていられない・・・




Writer:風音
タツヤぁ、おしっこ〜…」
リーダーがつんつんと兄ぃの髪を引っ張り、訴えた。


「あ、トイレか。よしよし、こっちだぞ〜」
兄ぃがリーダーをおろし、いつもの男らしさは何処へやら…という笑顔で、連れて行こうとする。
すると、意外にもリーダーは兄ぃの手を振り払った。


「ひとりでいけるもんっ!」
「え…」
固まっている兄ぃをよそに、たたたっと走り出す。
しかし、トイレの場所を知らなかった事に気づいたのか、きょろきょろ辺りを見回してる。


「茂くん、トイレあっちだよ。一番向こうのドア」
「わかったぁ〜」
教えてあげると、リーダーはトイレに駆け込んでいった。
まぁ、トイレぐらい一人でも大丈夫だろう…。
それより、問題は…。
恐る恐る振り返ると、リーダーに手を振り払われた姿勢のまま、兄ぃが真っ白になっていた。
あれだけでこんなにショックを受けるなんて…兄ぃのリーダーへの愛がどれだけ深いのかを思い知らされる…。
そして、もしリーダーが元に戻らなかったら…考えただけで恐ろしい…。


もうこの際だ。一人で闘うよりも助っ人を…誰かを呼ぼうか…。うん、そうしよう。一人でこの空間を耐えるのも、もう限界だ。兄ぃが正気に戻って八つ当たりされる前に…。
俺はそっと兄ぃから離れると、携帯を取り出した。
誰にしよう?そろそろ仕事が終わりそうな奴は…。




Writer:木葉
さて、都合のいいことに太一くんも長瀬もうまくいってればもう終わるころだ。
太一くんだったら、とりあえず兄ぃと同じように絞められるか。それから呆れて、適当にリーダーの相手をしてくれるだろう(リーダー子供だから)。んでも怒るときは兄ぃとタッグ組むだろうな。そうすると絶対に勝てないんだよ、一人でも勝てないけど・・・。もしくは傍観の立場にたつか・・・
長瀬だったら。とりあえず子供なリーダーに喜んで一緒に遊び続けるだろう。お子様だから。二人で遊び続けてそんだけだ。敵にもならないが味方にもならない・・・
やべぇどっち呼んでもあんまし意味ない気がする・・・。敵が二人になるか、傍観者がでるか、お子様が二人になるか・・・。あぁでもこの状態で兄ぃに正論を述べることが出来るのは太一くんだけだ。
と言うことは、状況がどちらに傾くかは五分五分のところだけど太一くんを呼ぶしかないよな。


「はい。松岡?どうしたんだよ、俺帰ってサッカーやりてーんだけど」
「ごめん。ほんっとごめん!緊急事態だからウチ来てくれない?」
「あぁ?緊急事態って・・・お前またガキになったのか?」
「いや、俺じゃなくって・・・太一くんの好きなやつなんか作るからさ、とりあえず来てよ!!」
「しゃーねーなぁ。マボ飯はうまいし、行ってやるよ」


これで状況はどちらに傾くか、一種の賭けだね。ガチャっと音がしてリーダーがこっちへ戻ってくる音がした。




Writer:ぺぷち
座って待っていると、リーダーはとてとてと俺の所へ駆け寄ってきた。
「マボ、おわったー」
「うん」
「一人でできたで」
「うん」
「ちゃんと手もあろたん」
「・・・うん?」
報告にしてはしつこいな、と思っていると、リーダーの顔がだんだん拗ねたようになってきた。え、俺何かしたか?
・・・・・・あ、もしかして。
「えー・・・と、よく出来たね」
「うん」
「偉い偉い」
そう言って頭を撫でてやると、リーダーは笑顔になった。なるほど、やっぱり褒めてもらいたかったわけね。
リーダーはにこにこしたまま、今度は兄いの方に駆け寄った。兄いの撫で方はちょっと乱暴だけど、リーダーは痛がる事無く嬉しそうだ。
子供にはあれ位がちょうどいいのかもしれないな、と思って、何となく唇を尖らせた。リーダーが最初に懐いたのは俺なのに、傍から見れば兄いの方が親子みたいじゃん。
俺の方にまた戻ってこないかなー、と二人を見ていたら、兄いが急にぴしりと固まった。・・・何だ?
「マボー」
「え、な、何?」
「おひざー」
「膝?・・・って、えええ?」
駆け寄ってきたと思ったら、リーダーはそのまま俺の膝の上に座った。腹にこてんと頭を乗せて、にっこり笑って見上げてくる。
・・・え、これって夢じゃねえよな?
驚きと嬉しさで固まっていると、不意に冷たい視線が刺さった。
「良かったな、松岡」
「・・・あ、兄い?」
「シゲさん、お前の膝がいいんだって」
「へ?」
「抱っこはマボがええの〜、だって」それは見事にリーダーの口調を真似て、兄いは綺麗に笑った。いつもの頼れる兄貴の表情だけど、この重圧は気のせいじゃない。
引き攣った笑みを浮べながら腕の中のリーダーを見ると、ご機嫌そうに両足をぷらぷらさせていた。兄いの重圧なんてものともしていない。流石だ。
「あ、あのさあ」
「ん?」
「これって、素直に喜んでいい?」
「・・・・・・いいんじゃないか」
その間は何ですか。
怖いから問い質さないけど、俺はそろそろと視線を外した。折角リーダーから来てくれたのに、むざむざ逃すなんてしたくないし。


とりあえず、太一くんに殴られるのだけは、覚悟しとこう。




Writer:木葉
「なあ松岡。一発殴っていいか?」
「覚悟はしてたから、一発なら・・・」


どうやって入って来たんだろうというツッコミはもうしないことにした。背後に立った太一くんは拳を握り締めている。俺が目をつぶって衝撃に備えたら前から抱きしめられた。


「マボいじめちゃダメー!!」


抱きしめたのは俺の膝に座ってたリーダーらしい。俺の頭ぎゅっと抱きしめてる。


「いや、別にいじめようとしてるわけじゃ・・・」
「ダメー!!ダメなのー、いたいのダメ〜〜〜」
「ちょっ泣かないでよ!分かった、分かったから。いじめないから泣き止んで、ね?」
「ホンマ?」
「ん、ホント」


太一くんは俺にぎゅっと抱きついているリーダーを抱き上げて頭を撫でながら笑いかける。泣き止んだらしいリーダーがまだちょっと目が赤いけど、にぱりと太一くんに笑いかけた。


「約束ー」
「ん、約束」


指きりげんまん〜♪と歌いながら指切りをする2人。太一くんに抱かれているのが気に入ったのかリーダーは太一くんの首にしっかりと腕を回してべったりとくっついている。


「つーか、松岡。メシ」
「あぁ、はいはい。すぐ作るから待ってて」
「マボー、ぼくもー」
「太一くんと一緒でいい?」
「たいち?」
「そ、俺の名前は太一っての」
「タイチ!ぼく、シゲル〜」
「俺と半分コする?」
「する〜」
「決定」
「了解」


俺は片手を上げてキッチンに入る。ちなみに兄ぃはまだダメージを受けて固まってる。適当に選んだ材料を手に取りながらふと考える。
リーダーは頭を撫でてくれる相手に兄ぃを選んだ。俺が撫でるより嬉しそうにしてたし。でも膝は兄ぃよりも俺のほうがいいんだよな。で、抱き上げるのは太一くんか。どうやらリーダーの中でそれぞれのポジションがきっちり出来ているらしい。




Writer:なおみ
さて、あとは長瀬かぁ。
あいつに対して、ちっちゃなリーダーは、どんなポジションを与えるんだろう・・・・
・・・・・・・・
まさかとは、思うけど、普段の猫かわいがりぶりを今の姿では、発揮しない・・・よね。
思考を、お子様してるんだから、
しっかし、おっせぇな。




Writer:風音
太一くんに連絡した後、やっぱり長瀬も呼んでおこう…仲間外れにしたのがわかったら、拗ねるだろうし…と長瀬にも電話をした。
すぐ行くって言ってたんだけど…。


『ピンポーン♪』


お、噂をすれば。
っつーか今日初めてだよ…ちゃんとインターホン鳴らした奴…。


「おう」
「松岡くん!緊急ってどうしたんスか?!また誰かちっちゃくなったんですか!?」
「…話すからボリューム下げろ」
ドアを開けるなり大声でまくし立てる長瀬。
あ〜…耳の奥キーンとしてる…。


「おう、長瀬おせーぞ!」
その時、太一くんがリーダーを抱え上げながら、リビングから出てきた。
「あ、太一くん!その子…」
にぱぁっとみるみる内に笑顔になる長瀬。
靴を脱ぎ散らして二人に駆け寄り、リーダーの顔を覗き込んだ。




Writer:木葉
太一君に抱き上げられているリーダーは急に目の前に現れた長瀬にビックリしたのがくりくりしたおおっきい目を限界だろ?ってとこまで見開いてじーっと長瀬を見てる。長瀬はかわいい〜とか言いながらはしゃいでるけど、リーダーはまだ固まってる。ちょっとずつちょっとずつ顔がゆがんでいってやばい!と思ったときには手遅れ。目が潤み始めて太一君のシャツにしわが寄る。


「茂くん?」
「ふぇ・・・ふぇ〜〜〜ん」
「え?えぇ!?なんでなんで?なんでリーダー泣いちゃったんですか!?俺何かやりました?」
「お前が急に覗き込むからだろ!」


泣いているリーダーは太一君に任せて長瀬の頭に一発拳骨入れて一回引き離す。


「小さい子って言うのはそういうの弱いからな・・・」
「兄ぃ、復活したんだ・・・(と言うか兄ぃがリーダーの泣き声聞いて復活しないわけないか)」
「なんか言ったか?」
「なにも。・・・長瀬任せていい?」
「おう。シゲを泣かした報いは例え可愛い末っ子だろうと受けてもらう」


ボキボキと指を鳴らして一歩一歩兄ぃが長瀬に近づき長瀬は一歩ずつ後ずさる。


「松岡ー。茂くん呼んでるぞー。手ー貸せー」
「わかったー。じゃ兄ぃ、よろしくね」
「任せろ」
「やだー!!!」




Writer:風音
茂くんは太一くんにしがみ付いてぼろぼろと涙を流していた。
太一くんはおろおろしながら、背中をさすったり、頭を撫でたりしてるけど、泣き止む気配はない。


「うぇっ…く…まぼぉ〜〜」
俺に向かってふらふらと両手を差し出すリーダー。
真っ赤に充血した目が、すがり付くようにまっすぐに俺を見る。
頼りにされてる…その感覚と、子供の純粋な瞳に思わず胸がキュンとなった。


そっと太一くんの手から茂くんを受け取り、抱きしめる。小さな手が俺の服をぎゅうっと掴む。
「よしよし、怖かったね。もう大丈夫だからね」
茂くんの背中をぽんぽんと優しく叩く。
ひっくひっくとしゃくり上げる声。
しばらくそうしていると、次第にその声が小さくなっていった。
見ると、涙は止まり、安心した顔で俺の胸にひっついていた。あぁ俺のシャツ涙と鼻水でぐしゃぐしゃだよ…。
でも本当に可愛いな…子供って…。


「…松岡?」
太一くんの声にはっと我に返る。
「お前、今完全に“お父さん”の顔してたよ」
「あ、いや、その…」
一瞬、この子がリーダーだという事を本気で忘れてた。
やべぇ…今になってすげー恥ずかしい!


その時、背後からものすごい殺気を感じた。
「よかったなぁ、松岡」
「あ、兄ぃ…長瀬は…」
言いかけて、山口くんの後ろ…ぱたりと投げ出されている、長い足に気がついた。


「しげ〜怖いお兄ちゃんはやっつけたからな〜」
まだ真っ赤な目をしているリーダーに、山口くんがにっこりと笑って話しかける。いや、怖いお兄ちゃんはアナタですから…。


「あ、太一くん料理…もう出来てるから、悪いけど自分で運んでくれる?俺、この通り手離せないし…」
「お、おう」
空気を変えようと太一くんに話しかける。
珍しく素直に従ってくれた所を見ると、流石の太一くんもこの空気には耐えられなかったらしい。それかリーダーの事を優先してくれたのか…たぶん両方だろうな。




Writer:木葉
ティッシュで茂くんの涙と鼻水を拭っていると太一君が俺が作った料理をテーブルに並べていく。


「松岡、運び終わったぞ。食っていいよな」
「どおぞ」
「俺も」
「兄ぃ、あなた食べたでしょ」
「あれはあれ、これはこれだ」


言うが早いかやけ食いのように料理を胃袋に収めていく2人。いつもならにおいですぐに復活する長瀬も流石にまだ復活しない。とりあえず茂くん用に作っていた分を食べられないように引き寄せる。


「茂くん、ご飯。食べる?」


俺の服をしっかりと握り締めたままコクリと頷く。ホントはちゃんとテーブルのほう向いて欲しいけど無理っぽいから俺のほうを向かせたまま、箸で適当にとって茂くんの口元に運ぶ。そしたら茂くんはそれをぱくりと食べてもぐもぐしている。


「おいしい?」
「おいし〜〜〜!マボ、もっとー」
「はいはい」


泣いたカラスがもう笑ったよ。兄ぃの怒りと言うか嫉妬?の視線と太一君の呆れた(気のせいかもしれないけど嫉妬もある気がする)視線が痛いけど、このさい無視する。ここでまた茂くんにへそ曲げられると大変だし、目をきらきらさせて待ってる茂くんのほうが大事だし、ね?




Writer:鳳樺琥珀@首謀者
「ていうかね、」


オレは茂くんにご飯を食べさせながらぼやく。
もぐもぐと、相変わらず美味しそうに食べている。よかったよかった。


「なんでまた、リーダーは唐突にちっちゃくなっちゃったんだろねぇ」


今更ながら当然の疑問に首をかしげる
いや、だってオレが此間ちっちゃくなっちゃったのは長野くんの薬飲んじゃったせいだし。
あの時は飲んだもん出したら治ったわけじゃん。
でも今回の場合、何でリーダーがちっちゃくなっちゃたのかは分からないんだよね。リーダーに聞こうにもリーダー精神まで子供化状態しちゃってるから。



「松岡がリーダーちっちゃくしたんじゃないの?」
「そうそう、たまには可愛いお子様リーダーに甘えてもらいたくてさ」
「なっ!?違うし!!!」


じとり、といかにも当然そうな目で太一くんと兄ィがオレを見やる。
リーダーはそんな空気を気にすることなくもそもそとご飯を食べている。流石だ。
あ、最初に言ったとおりオレ変なもんリーダーに食わしてないし変なことリーダーにしてないからね!!


「んー・・・・マボ、ごちそうさまー」
「あっ、うんおそまつでした、茂くん」


茂くんの口を拭きながらふと太一くんの方を見やると太一くんは長瀬を蹴っていた。
兄ィはそれを涼しい顔で見てる。怖いよはっきし言って。
茂くんにその光景を見せないように気を遣って、オレは茂くんに食後の林檎を剥いていた。
食べやすいように小さく切った林檎を茂くんはしゃりしゃりと齧る。うん、可愛い。
茂くんが林檎に夢中になっているのを確認して、オレはとりあえず太一くんにこの現状を聞いてみる。


「ねぇ太一くん」
「ん?」
「なんで長瀬を足蹴にしてるわけ?」
「あぁ、こいつさっき食いもんの匂いでも目覚めなかっただろ、だからしょーがなくこいつを足蹴にしてるわけ」
「いやいやいや、足蹴ってあんた」
「しょうがないじゃん?こいつもリーダーちっこくなったことに一枚噛んでるかもしんないし」
「そりゃまあそうだけどさー・・・・」



すると、ぴくん、と長瀬が動いた。
三十秒ほど時間をかけて長瀬はもぞり、と起き上がる。
血の流れたあとやあざをあちこちに作った状態で、長瀬はにぱあ、っと笑顔を作る。大丈夫なのかこの末っ子は。


「りーだぁ」
「やめいやめいやめいやめい!お前その顔でこっち向くな!リーダーが泣いちまう!」
「えー・・・ってひゃああぁぁ!・・・・」


長瀬が太一くんに引きずられて出て行く。え、太一くんその細い腕のどこにそんな力があったのさっていや今はそういうことに突っ込んでる場合じゃない
その様子を涼やかに傍観していた兄ィが、口を開く。



「とりあえず今太一が長瀬の血とか落としに行ったから、それ終わったらとりあえず話し合おうぜ。シゲさんが何でちっこくなったか」
「う、うん・・・・」




Writer:木葉
服にもわずかだったけど血が付いてて、それ見たらまたリーダーが泣いちゃうだろうと言うことで長瀬に俺の服を貸してやって、とりあえずオッケーだろうと太一君が許可を出してどうにかちびリーダーと長瀬の自己紹介が終わって一服。いや、誰もタバコは吸ってないよ?ちびリーダーには毒以外の何物でもないって十二分に理解しているから。んでテーブル囲んで座ってる。ちびリーダーはジャズとマリブとお遊戯中。


「んで、なぜシゲがちびになったかだ」
「とりあえず例の薬みたく怪しい物体はなかったよ」
「っていつ調べたのよ」
「気にすんな」


今更だったか・・・。つーか、長瀬。お前もいい歳した大人なんだからちびリーダーと遊ぶ犬に敵意を向けるな!


「松岡んちに原因がないとして、じゃあどこに原因があんだよ」
「こうなったらリーダー本人に原因があるんじゃないの?」
「でもリーダーだよ?長瀬じゃあるまいし、そういったもの口にするとは思えないよ」
「ちょっと、どういう意味っすか!?」
「「そのまんまの意味だ」」
「えー!!」
「お前前科あるだろ」


あいまいに笑ってそっぽ向くなよ・・・。大体、こいつ俺がちびになったとき自分もなりたいとか言ってリーダーにぶちのめされたもんな。


「長瀬。お前、まだちいさくなりたいとかおもってねーだろうな」
「おっ思って、ませんよ・・・」
「なんで尻すぼみなんだよ」
「あってめ、何か知ってやがるな!!」


言うが早いか太一君の手が長瀬の首を絞める。


「はけぇぇぇ!!」
「はっはきます!!はきますから首を絞めないで下さいぃぃぃ!!!イノッチが『日ごろお疲れのリーダーに、はいどうぞvv』ってなにか渡してました。リーダーは『ありがとぉ』ってそれ貰ってました!!その後イノッチが、きっと面白いこと起こるよん♪って・・・」


いつも問題を持ってくるのはあそこのグループなんだね・・・イノッチ、かたが付いたらしめる!!




Writer:ゆくら
仮死状態になっている長瀬は放って置いて、俺たちは2匹の犬とじゃれ合っているちびリーダーを眺めつつ、話し合いを始めた。


「やっぱり、井ノ原に聞いてみるのが一番手っ取り早いかなぁ?」


自分のケータイを睨んで、二人のほうへと視線を向ける。


「どうだろうなぁ。前の事もあるし、そう簡単には教えてくれないんじゃないか?」


兄ィはいつの間にか、リンゴを持ってきて丸かじりしている。
シャクシャクと音を立てながら、ちらちらとリーダーを見ている。


「・・・なんか、脅しかけたら吐いてくれんじゃね?」


太一君の言葉にそっと顔を上げると、当の本人は無表情で自分のケータイを見つめていた。
そして俺は、またちらりとリーダーの様子を見る。
ようやく復活した長瀬と共に、相変わらず楽しそうに遊んでいる。


「・・・長瀬ー、ちょっとコッチ来い」
「え〜、今リーダーと遊んでるんスけど」
「いいから来い。も一度、三途の川を見たく・・・」


俺が言い切る前に、長瀬は超人的なスピードでやってきた。


「何スか?」
「井ノ原に、リーダーを元に戻す方法を聞け」
「・・・どうやって?」
「いいか?・・・・・・・・」


そっと耳打ちすると、長瀬は解っているのかいないのか、複雑な表情のままケータイを取り出し、通話ボタンを押した。



「もしもし、イノッチー?突然だけどサー、リーダー戻してくんない?うん、そう。小さくなっちゃて。
いや、どうしよう。は、こっちの台詞だよ。
てか戻してくれなきゃ、なんかマボがイノッチのじゅーよー秘密を、各テレビ局に漏らすって・・・。
もしもーし、イノッチー?・・・切れちゃった」


まさか普段の交友がこんなとこで役立つとはね。
悪いな井ノ原、全てリーダーの為だ。




Writer:風音
それから約30分後、インターホンが3回ぐらい続けて、けたたましく鳴った。


「うるせーよ、お前」
そう言いながらドアを開けると、井ノ原が息を切らせて立っていた。肩が激しく上下している。
「ま、松岡…重要秘密って…」
「いいから入れ」
とりあえず井ノ原を家の中に引きずり込む。


井ノ原はリビングに入ると、早速リーダーに目を留めた。
「リーダー?!マジで〜?!超かわいー!!」
長瀬のようにリーダーに詰め寄りそうな勢いだったので、慌てて引き止めた。


「待て!いきなり行ったら茂くん泣くから!っつーか、その前に戻す方法教えろ。でないと、あんな事やこーんな事や…喋っちまうぞ?」


悪いけど、リーダーを戻せなかったら、俺が八つ当たりされる事は確実だ。何がなんでも白状させないと…。




Writer:木葉
「マボちゃんお願い!あんな事やこんな事話さないで!!」
「だったらリーダー戻す方法はけ!!」


井ノ原がそっちばっかり気にして俺に手を合わせて必死こいて頭を下げてくる。俺はと言えばそんな井ノ原の胸倉を締め上げている。


「井ノ原、俺らの恐ろしさはお前がよぉーーっく知ってるはずだ。特にリーダーが関わってるときの恐ろしさは、な?」
「シゲは今犬っころに夢中だからなぁ・・・今ここで何か起きても多分気付かねーだろしな」


にっこり笑っている太一君と兄ぃに長瀬は顔真っ青にしてガタガタ震えている。井ノ原の顔色もどんどん青くなっていく。


「あ、あのね、怒らないで聞いてね?・・・知りません」
「ぁあ゛?」×2


兄ぃ、太一君物凄く柄悪いです。ちびリーダーが見たら泣くよ?ってか仮にもアイドルでしょ?つーか、井ノ原なんつった?


「井ノ原、俺、耳悪くなったのかな?怒らないからもう一度、はっきり大きな声で簡潔に言ってくれないかな?」
「マボちゃん怖い・・・だから、俺知らないの!戻し方知らないんだって!!」
「なんだとてめー!!」
「覚悟できてんだろうなぁ!!」
「兄ぃ、太一君ストップ!!長瀬、ちょっと2人押さえてて!」
「無理っす!!」
「無理でも何でもやれー!!」


そしたら何を思ったのか長瀬は俺たちの声に驚いたのかきょとんとしていたちびリーダーを2人に押し付けた。まぁそうしておけば大丈夫だよね。


「で?」
「町歩いてる時に怪しい店見つけてね。効果に子供になるって書いてあって、ものは試しに坂本君にあげたら本当にお子様になって・・・」
「(また坂本君が犠牲者なんだ・・・)で?」
「なんの変化もなかったからやっぱりやらせだと思ってたら次の日に准ちゃんから連絡来て、ばれて、こっぴどく叱られてそれっきりだったのよ」
「ほーぉ・・・」
「それからしばらく誰も口きいてくれなかったからどうなったか俺、全然知らないの。でも次に会った時は坂本君戻ってたよ!?」
「そんな目にあって、なんでリーダーに仕込んだんだよ」
「だって、坂本君のお子様見れなかったんだもん。リーダーならもしかしたら見れるかもって思って・・・えへv」
「えへv・・・じゃねー!!!てめーはいっぺんあの世行ってこいやー!!!!」


俺がずたぼろにした後、さらに兄ぃと太一君によってさらにずたぼろにされた井ノ原はもう用も終わったし、これ以上居られても邪魔だし、こんなんちびリーダーが見たら泣いちゃうから粗大ゴミとして表に出しておいた。ちなみに長瀬に運ばせました。


「とりあえず、井ノ原の重要秘密は公開決定」
「だな・・・誰か岡田のケー番知ってるか?」
「「「「・・・・・・」」」」×4


岡田のケー番は誰も知らないって・・・何故!?とかと思っていたらいきなり携帯の着信音。この音は俺じゃない。兄ぃたちも違うみたい。どこからだと思えば発信源はほったらかしていたリーダーの荷物からだった。


「シゲの携帯か・・・仕事か?」


躊躇なく兄ぃがリーダーの荷物を漁る。取り出した携帯の着信をみて兄ぃが眉を顰めた。覗き込んだそこに表示されていたのは「岡田」の二文字だった。




Writer:風音
「もしもし?」
とりあえず兄ぃがその電話に出る。俺と太一くんと長瀬も耳を寄せる。


『あ、もしもし。岡田ですけど…』
「おう、俺山口だけど」
『山口くんですか?実は、いま松岡くんちの下にいるんですよ』
「え、マジで?」
『はい。楽屋で井ノ原くんが、松岡くんから電話受け取った途端、血相変えて飛び出してったから追いかけたんですよ。話してるの聞いて何が起こったか大体わかったし…ホンマすいません…』
「いやいや、お前のせいじゃねぇし…それより、こっち上がって来いよ。いろいろ話聞きたいし」
『それが、松岡くんの部屋知らなくて…長瀬くんに電話してみたけど出ぇへんから、茂くんの携帯に電話したんですよ』


「あ、そっか。オレ岡田の番号知ってた」
長瀬が今更つぶやく。そうだよ、そういやコイツに一緒にドラマやってたじゃんかよ。俺達が睨むと、長瀬はものすごい速さでちびリーダーの方に逃げていった。


岡田に部屋の番号を教えると、電話を切った。
ちなみに、粗大ごみに出した井ノ原は、一緒に来ていた長野くんが引き取っていってくれたそうだ。
来てくれたって事は岡田は戻す方法を知ってるんだろう…よかった、希望の光が見えてきた…。




Writer:木葉
「おじゃまします〜」


のんびりとした声とともに岡田がのんびりと入ってくる。こいつもそういやーマイペース野郎だったよな。後輩らしくちゃんと兄ぃから順番に挨拶をしていく。一通りするとごく自然にちびリーダーの近くに座る。


「ほんまにちいこくなってるんですねー、かわえぇですやん。まーくんもかわいかったですよ」


どういうわけか岡田とちびリーダーはすんなりと馴染んだらしい。ちびリーダーは岡田の背中からくっ付いてきゃっきゃ言っている。


「茂くんもさっぱりなんですね」
「坂本もさっぱりか?」
「えぇ。全員忘れてましたね。おまけによう泣くんで、大変でしたよ。特にイノッチ見ると無条件で泣いて・・・」
「井ノ原ちびな坂本君見てないって言ってたけどな」
「見せてませんよ。一緒に居る時になったんですわ。んで、俺のこと分からんくて、念のために写真見せたらもうそこで泣いたんですよ」


未だになぜそうなのかは分からないと言いながら岡田は俺が出したお茶を啜る。つーか、ある意味井ノ原気の毒だよな。


「んで、坂本君はどうやって戻ったのよ」
「そうだ。忘れてた!」
「ん〜、特になんもしてませんよ。その日のうちには戻らへんかったんですけどね。とりあえずほとんどずっとウチのサツマと遊んでましたね」
「で、何日くらいだったんだ?」
「2日、だったかな?とりあえずほかっとけば治るみたいですよ」


あっけらかんと言うとかまって〜と言う眼差しをずっと岡田に向けていたちびリーダーを構い始める。


「その間仕事どうしてたんだよ」
「長野君に小さくなった翌日にまだ小さいって連絡したら、俺と坂本君の分のオフゲットしてくれました。せやから問題なかったんちゃいますか?」


ほなら仕事が残ってるんで、と言い残して岡田はあっさりと帰っていった。必要以上になっついていたちびリーダーが寂しいのかジャズとマリブを抱っこして俺の膝の上。


「結論としてはほかって置くしかないってことだよね」
「早くて明日戻るってことらしいけど・・・明日リーダー仕事だよね?」
「おう。だん吉やって直帰して村、っちゅーハードスケジュール。責任とって長瀬、付き合えよ。マネには話しつけとくし」
「えぇーーー!!!」




Writer:風音
「責任って…だって、一緒にいたの松岡くんじゃないですかっ!」
長瀬が必死に反論する。
「お前、泣かせただろ!っつーか、俺はリーダーと一緒にいてあげなきゃいけないし」
「太一くん…」
今度は太一くんに助けを求めるような目を向ける。
…それは無理だと思うぞ長瀬。
「俺だって『オーラの泉』の収録があんだよ」
ほらな。


俺達は3人で長瀬の肩にぽんと手を乗せた。
「「「ってことで、よろしく!」」」
「うぅ…明日だけですよっ!」


もう1日経っても戻らなかったら、またその時考えればいいしな。っつーか、仕事より、今の山口くんと1日一緒…って事の方がハードかもしれないな…長瀬、健闘を祈る…。


「で、松岡。シゲはこのままここに泊めるのか?」
「うん。ここに慣れてくれてるみたいだし、いきなり環境変わったら不安でしょ?」
「まあ、そうだな…」
そう言いつつ、まだ何か言いたそうな兄ぃ。
連れて帰りたいんだろうけど…それは譲れない…。




Writer:木葉
兄ぃの恨めしそうな、長瀬の疲れたような、太一君の楽しそうな(この状態を一部楽しんでいるふしがある)視線を無視してとりあえず3人には帰ってもらった。と言うより、明日も仕事だからね、帰るしかないんだよ。適当に見送って振り返ったらジャズとマリブををぬいぐるみよろしく抱えて目を潤ませているリーダーがいた。二匹は慰めようとしているのか舌が届くところを舐めまくっている。


「なーマボ〜」
「どったの?」
タツヤとタイチとナガセ、どこ行ってもうたん?」
「明日もお仕事あるからって帰っちゃった。寂しい?」
「・・・へいき〜〜〜」


さらにギュッと抱いて俺の足元にペタンとくっ付く。寂しいんじゃんか。まったく、無理しちゃって。


「茂君、いいものあげよっか?」
「いいもの?」
「そ。ただし、条件付ね」


小首を傾げて?マークを浮かべるリーダー


「ちゃんといい子でお風呂に入ること。ジャズとマリブはここに残して。オッケー?」
「わんこ、ダメ?」
「ダーメ」
「・・・絶対にえぇもんくれるん?」
「絶対にあげるよ。約束」
「ならいい子にする」


ったく顔も手もよだれでべったべただっての。汗もかいてるし。風呂入れといてよかったね。ホント、さすが俺!




Writer:しんる
一人で入れるって言うからその意思を尊重して、何かあったら大声で俺を呼ぶこと、出たら俺を呼ぶこと、30分経って出てこなかったら様子を見に行くからと伝えて風呂に入るリーダーを見送ると、
出たらすぐに飲めるように、ホットミルクを温める準備と、
約束の“いいもの”を用意し始めた。


喜んでくれるといいなあ。
願いながら写真を入れられるペンダントに、
俺たち5人が写った写真を詰めた。


その時風呂のほうから元気な声が聞こえてきた。


「まぼー、でたー!」
「はいはい!今行くよー。」




Writer:木葉
一応自分で拭いたみたいだけどまだまだ濡れているから頭からタオル被せて拭いてやると「うに〜」と声を上げる。


「はいオッケ。じゃ服着ようね」
「おん」
「それじゃ、バンザーイ」
「バンザーイ」


元気よく手を上げて、上から勢いよく服を被せてあげる。ポンと出てきた顔がえへへって笑ってて、ホント可愛いよ。やっぱり子供はいいね。それがリーダーって言うのが・・・サイコーだよ。でも、早く戻って欲しい
考えに浸ってる間にリーダーはホットミルクをちょっと危なげに飲んでる。


「ごちそうさまー」
「お粗末様」
「なー、マボー。いいものはー?ぼくええ子にしとったやろ?いいもの〜」
「はいはい。茂君はすっごくいい子にしてたよ。だからこれね」


髪の毛撫でてくしゃくしゃにしてやってからそっとペンダントをかけてあげる。それを手にとって首を傾げる茂君に苦笑してからロケットの部分を開けてあげる。見るように促してあげると満面の笑顔が浮かぶ。


「あ〜みんなや〜。タツヤとタイチとナガセや〜。マボもおる〜!!」


きゃっきゃとはしゃぐリーダーに俺まで嬉しくなる。


「な〜マボ。皆はわかるけどこの人だれ?」
「ん?あぁ・・・この人ね。この人は・・・」


リーダーが指差してたのは俺らに囲まれて本当に嬉しそうに微笑んでいる大人のリーダー。飲みに行った時にマネージャーに撮ってもらったから、全員のテンションがめちゃめちゃ高くてめちゃめちゃ楽しかった。この笑顔は俺たちと一緒じゃなきゃ出来ないだろうともっぱらの評判で、リーダー自身も否定しなかった。黙った俺にちびリーダーが小首をかしげる


「・・・この人はね。城島茂って言って、俺たちのリーダーだよ」
「シゲル?・・・ぼくとおんなじなまえや〜」
「そうだね。茂君と同じ名前だね」
「マボ?どないしたん?」
「なんでもない。何でも無いよ」


そうは言っても辛くなって、リーダーを抱きしめてその小さな肩に顔を埋める。しばらくそうしていたらリーダーの小さな手が俺の頭を撫でているの気付いた。


「ごめんな・・・」


ふとそう聞こえた気がして顔を上げたらリーダーがビックリしたように首を傾げた。


「マボ、どうかしたん?」
「いや・・・もう寝よっか」
「おん!」




Writer:星流直斗
さて。
寝ると言っても茂君一人でベッドに寝かせるわけにもいかないからなぁ。
そう思ってベッドに茂君を導いていく。朝ベッドに並んで寝ていたこと考えれば、大きさ的には問題ないでしょ。
「マボー、わんちゃんにお休みいうー!」
リーダーがそう言って犬に会いに行くのについていく。一人で行かせたらまた遊んじゃって寝ることができなくなっちゃいそうだしね。
「じゃずー、まりぶー、おやすみぃ!」
名前覚えてるし、リーダー…
寝床に入って寝る体勢の二匹はきちんとリーダーに顔を向けて「わん」とお返事。普段俺には目をチラッと向けるだけなのに、なによ、この違いは!
色々複雑な思いを抱えながら、俺はお休みの挨拶をしてもまだ名残惜しそうなリーダーを抱き上げ寝室に運ぶ。
抱き上げたらリーダーは俺に向かってにこぉ!って感じの笑顔をくれる。
ああぁ!最高に幸せ!!
そんな感激している俺をよそに、リーダーは俺の体温のためか、眠気が襲ってきた様子。ちょっとトロンとした表情で、ふわぁって感じの欠伸も出てる。
あわててベッドにリーダーをそっと寝かせる。
「マボ、いっしょに寝るん?」
「そう。嫌だった?」
もしかして一人が良かったのかな?不安に思って聞いてみると、リーダーは頭を横に振った。
「マボといっしょがええのん。ずっといっしょやで?」
そう言ってリーダーはペンダントを手にとる。子供なのにリーダーの雰囲気がちょっと大人びた感じに思うのは俺の気のせいなのか。
タツヤもタイチもナガセも、ずっといっしょやぁ」
「そうよ。ずっと一緒だよ、茂君」
リーダーが安心するように俺はできるだけ優しく言い聞かせてあげる。なんかリーダー、不安に感じているような気がするんだ。なんとなくだけど…
「マボ、僕のこと好き?」
眠気でちょっと潤んだ目で俺を見上げるリーダー。
なに、そんな当たり前のこと聞くの?
普段なら冗談っぽく、でこをはたいちゃうような質問。
でも。


「うん。大好きだよ、茂君」
今の子供リーダーには素直に答えちゃう俺。


…もしかしたら、神様が俺に素直になれるチャンスをくれたのかな…
ちょっとそう思ってしまうくらい、優しい空気が俺とリーダーを包み込む。幸せな時間。


「マボ、大好き!!」
リーダーの顔が嬉しそうな笑顔に変わり、ギュッと俺の服にしがみついた。
二人でずっといっしょだなどと言い合いながら、俺達は眠りについた。


眠りに入る際の、ぼんやりとした俺の意識のなかで、
「どんな姿になっても、僕達ずっと一緒や」
そうリーダーが大人のようなしっかりとした口調で呟く声が聞こえたような気がした。




Writer:植村蘇芳
ずっとこのままの方が良いのか。
其れともちゃんと元の姿に戻った方が良いのか。
正直、俺は上手く言葉に出来ないようだ。
でも・・・。本来ならリーダーは庇護される小さな子供じゃなくて、35歳の立派な大人なワケだし。
けれど子供の姿をした幼いリーダーと別れるのも何だか切なくも思えてしょうがないのは俺だけだろうか?



ふと気付くとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
あっと言う間に夜は明け切ってしまい、また一日が始まろうとしている。
傍らに感じられる暖かな温もりは、まるで子猫のようにその身体を丸めてぎゅっと俺の服を握り締めていて・・・
あぁ、小さなままのリーダーだ。と妙に安堵している自分がいる反面この生活が何時まで続けられるのか不安にも思えたり。


確かに小さなリーダーは可愛い!!目に入れても痛くないくらいに!!!って別に俺が孫を持つ程の年齢ってワケでもないけどさぁ。
もぅそのくらいには可愛くて構い倒したくてしょーがないのよ!!(例え最強で最凶なあの人が敵に回ったとしてもさ。)
でもねぇ、現実問題・・・このまんまってワケにもいかないじゃない。俺も勿論だけどリーダーだって何時までもオフが取れるワケでもないし。1日2日程度なら未だ事務所の方もスケジュールの調整くらい何とかしてくれなくもないとは思うけど。
流石に長期になるのはマズいよね。下手に騒がれるのも勘弁して欲しいけど、リーダーの立場が悪くなるのはもっと嫌。


あどけない表情で眠ってるちっちゃなリーダー。ねぇ、アナタはどうしたいの?
このままで在(い)たいの?其れとも元に戻りたい?
アナタの傍に存在(い)るコトしか出来ない俺だけど、ずっとアナタを見てるから。
どんな姿をしたアナタでもアナタには変わりないもの。


微かに震える小さな瞼。徐々に覚醒してゆく小さな瞳。身じろぐ小柄な身体に子供特有の細くて短い手足。


「おはよう。茂くん。」


俺の声に言葉に反応して何処かしらぼんやりとしていた表情から、ゆっくりと花が咲き零れるように何度か瞬いた瞳が嬉しげに弧を描いて満面の笑みへと変わってゆく。


「ん゛ん〜。・・・あ。まぼ、おはよぉー!」


朝からニッコリ笑顔全開のリーダーは、何だか妙にご機嫌が良いらしい。
今朝の夢見でも良かったのかな?其れとも何か楽しいコトでも思いついたとか?


でも多分、そろそろ・・・刻一刻と時間が迫っているのかもしれない。其れは未だハッキリと見えないけれども少しずつ差し迫っているように思えてならなかった。




Writer:鳳樺琥珀
寝起きっぽいリーダーを風邪引かないようにまた寝ちゃわないように、まずはジャズとマリブのとこに連れて行く。
ちょうどジャズとマリブも起きたみたいで、昨日と同じようにリーダーにじゃれつきだした。
何だよいつものオレのときとの対応の違いはよ、とぼやきながら2匹にちびリーダーを任せ、オレはキッチンに入って朝食を作り出す。
ほら、リーダーも楽しそうにしてるし。そうしてれば、まずまた寝ちゃうなんてことはないでしょ。


簡単な玉子焼きを作って、ウインナーを炒めていたら朝っぱらから電話が鳴る。
携帯に手を伸ばし、着信欄を見たら兄ィからだった。


「はいもしもし」
『はい山口です・・・・じゃねえ!松岡、シゲさんどうなった?』
「ん〜、まだ戻ってないよー」
『あー・・・そうか。で、今シゲさんは何してる?』
「えっとねー、うちのジャズとマリブと遊んでる。そしたらまた寝るってことはないでしょうし」
『そうか。じゃあまたな』
「え?兄ィ、うちに来るんじゃなかったの?」
『そうしたいのはやまやまなんだが・・・これから仕事でなー、シゲさんと一緒にわきゃわきゃしてるどっかの誰かさんと違って』
「わきゃわきゃしてねーっつの。・・・・あーっ、ウインナーが焦げるーっ!!じゃね!」


ぷちっ。


あのあとずーっと兄ィと電話してたら延々と愚痴を聞かされそうになりそうだったので適当な言い訳をつけてぷちっと切る。
ああそういや昨日兄ィは長瀬とロケだったっけ。・・・長瀬大丈夫かなぁ。
なんていらぬ心配しつつも、オレは出来上がった朝食をテーブルに並べ、ちびリーダーを呼ぶ。


「茂くーん、ごはんできたから、手ぇ洗っておいでー」
「はーい」



リーダーは美味しそうにオレの朝食を食べている。よかったよかった。
しかし、問題はこの後だ。今日、オフを取れるかどうか。
まぁ、オレはドラマがクランクアップしたばっかで余裕でオフ取れるだろうけど、問題はリーダーだ。
どんな理由でオフ取るかなぁ。・・・・ま、太一くんに頼めばいっか。
オフ頼みはまだしなくても仕事には支障ない。とりあえず、邪魔者がいないこの空間をぎりぎりまでリーダーと共有しよう。




「茂くん」
「んー?」
「今度は、オレと遊ぼっか。ジャズとマリブも、眠そうだし」
「おん!」


リーダーを肩車したりおんぶしたりとにかく道具がなくてご近所にも迷惑がかからない程度の遊びをする。
ホントは遊園地とか行ったり公園行ったりしたいんだけどさぁ・・・・・オレがバレたら困るわけよ。
砂場遊びとかしたいんだけどさぁ・・・・まさか小麦粉を砂代わりにするわけにもいかないでしょうし。
ついでに、何枚か写真もぱしゃぱしゃやる。ツーショットとかいっぱい撮る。
リーダーは本当に楽しそうな笑顔で、オレにしがみついたりして笑ってる。
こんな空間が、いつまでも続いたらいいのに。まぁ、無理なのは分かりきってるけど。
ビデオカメラもがーっと廻す。伊達にPV監督やってるわけじゃないからね。
ていうか、廻しとかないと後で兄ィとか太一くんに殺されそうだし。確実に。
いっぱいいっぱい遊んで、ちびリーダーは眠そうな顔になる。



「マボぉ」
「ん?」
「僕、もう眠たい・・・・」
「そう?じゃあ、昼寝しようか」


枕をあげて、掛け布団をかけてやったら、リーダーはもうすうすうと安らかな寝息を立てていた。
こんな寝顔を見れるのも、もう最後かぁ。
オレはリーダーのとなりで添い寝をしながら、静かな切なさに浸っていた。
リーダーの首で、昨日あげたペンダントが鈍く光っている。
やわらかく閉じられた手に、冗談のつもりで指を突っ込んだら、リーダーは無意識にも握り返してくれた。



ふと、気づいた。ペンダントのせいだと思っていた鈍い光が、いつのまにかリーダーの身体を包み込もうとしていた。
鈍くても、暖かいヒカリ。そう、それはいつものリーダーが纏っている雰囲気のような。
鈍い光はだんだんと輝きを増し、キラキラと光るヒカリになった。
キラキラと光るヒカリがリーダーの輝きを包み終えて、ぱあっとあたりにはじけたとき、オレの隣に眠っていたのは、いつものリーダーだった。



「ん・・・」、とリーダーが目覚めようとするので、オレは慌てて指を引っこ抜いた。
眠そうに目をぱちぱちさせて、リーダーは目を覚ました。
きょろきょろと目を落ち着かなさげにしばたかせて、ようやくオレに気づいたみたいだ。
リーダーの唇が、ゆっくりと動く。


「あ・・・松岡ぁ」


さっきの子供の声変わりしていない高い声じゃなく、いつものリーダーの声。
数秒間リーダーは、ぼーっとしてた。
何秒か考えて、リーダーはやっと今の状況に気づいた。


「なー松岡ぁ」
「ん?」
「僕、なんでこんなとこにいるんやろ・・・」
「ここはオレんちだよ。だいたいあんたさぁ、昨日うちに来て酒飲んで、そのまま寝ちゃったんじゃないの」
「そうか・・・なら、なんでこんな床の上で寝てるんやろ・・・・」
「あぁ、さっきあんたはここでジャズとマリブと戯れててそのまま寝ちゃったからだね」
「ふーん・・・じゃあ、なんで松岡が僕の目の前にいて、僕の隣にいるんやろなぁ」



はっ、と気づいた。
子供リーダーに頬緩ませて昼寝してたのを添い寝してただなんて今は絶対にいえない。
長瀬みたいにえへらえへら笑って、その場をごまかした。
これからは、またいつもと同じ毎日が始まるんだろう。
それでも、今感じたこの幸せは忘れずにいたい。
とりあえず、今はこの言葉を言おう。



「おかえりなさい、リーダー」





....end.


P.S・・・
ちなみにこのあと、兄ィと太一くんが来て、殴られそうになったけどビデオと写真のコピーを渡して勘弁してもらいました。
そのあと長瀬が来て、ぎゃーぎゃー言いそうになったのでリーダーにばれない程度に脅して黙らせました。
何のことか全然分かっていないリーダーに4人がかりでこれまでの経緯を事細やかにリーダーに説明しました。
そしたらリーダーは驚いて、恥ずかしそうに照れていました。そして、笑っていました。
で、リーダーにペンダントの話もして、「大事にしてね」と言ったら、「おん」って笑って頷いてました。
多分、また全員ぶんのペンダントを作ることになるだろうけど。
その日は太一くんがマネージャーを脅して全員分のオフを取ったので、その後はまたオレんちでリーダー囲んでわいわいと宴会をしました。
そしてテレビ局、雑誌局各社には、井ノ原の恥ずかしい過去の話を大暴露してやりました。
ホントはもっと恥ずかしい過去を大暴露してやる予定だったけど、小さくなった坂本くんに泣かれた井ノ原に僅かの同情を示して、少しましな過去にしてやりました。
でも、ここではその恥ずかしい過去を暴露してやる気はありません。長くなるから。



・・・・それでは皆様、これまでお付き合いありがとうございました。
今度こそ、本当に終わりです。ちゃんちゃん。



    END☆


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All Writer(敬称略)
**山ゆり*木葉*風音*reila*ぺぷち*なおみ*ゆくら*しんる*星流直斗*植村蘇芳*鳳樺琥珀


Special Thanks(敬称略)
**執筆くださった方、見守ってくださってくださった方全て*