空に還る日4

久々の更新です。長らくお待たせしてしまってすみません−−;
また頑張りますので…とりあえず、短いかもしれないですが。今日はここまで…。


【空に還る日】〜4〜


わかっていたのかもしれない。いつかこんな日が来るって…。
シゲは天使で、俺は人間で。
ずっと一緒になんていられるはずがない。
別れの日は必ずくる。


だけど、その日がいつかなんて、考えた事もなかった。考えたくなかった。
怖かったんだ…シゲを失うのが…。



シゲといると、楽しかった。まるで、ずっと昔からの親友みたいになんでも話せた。
何気ない世間話や、男同士のバカ話で盛り上がったり。
夜の街に繰り出して、シゲが幽霊のフリをしてタチの悪い酔っ払いを脅かす、なんてイタズラもしたりした。


シゲはいつもニコニコ笑って俺の話を聞いてくれた。
でも、俺が何か悩んでいる時はしっかり見抜きやがって。
真剣に相談に乗ってくれた。
俺も、他の人には話せないことでも、なぜかシゲには素直に話せた。
普段は頼られる事が多い俺だけど、シゲには素直に甘える事が出来たんだ。



いつの間にか、シゲは俺にとって無くてはならない人になってた…。



「あ…れ…?」
手の甲に水が垂れて。
なんだろうと思ったら、俺の目と頬が濡れていた。


「はは…なさけねー…」


何やってんだよ…大の男が…。
俺ってこんなに女々しかったっけ?


そう思いつつも、涙は止まらなかった―。







俺はそのまま眠ってしまったらしかった。
気づけば眩しい朝の光が窓から差し込んでいた。


まだ眠いし、朝の空気を吸おうなんて清々しい気分にもなれなくて、頭から布団を被った。


“コンコン”



…今なにか聞こえた?いや、気のせいだ。何にも聞こえない。



“コンコン”



聞こえない聞こえない。



“コンコン”



なーんにも聞こえな…。



「達也ぁ?」



ビクン!
背後で聞こえた声に、思わず体が震えた。


「どうしたん?具合でも悪いん?」
「…」
「無視せんといてやぁ…」



ゆっくりと、潜っていた布団の中から頭を出した。
でも振り向く勇気が無い。



「達也?」


シゲが上から覗き込んでくる。
きれいな茶色の髪、茶色の瞳。1週間とちょっとしか経っていないのに、ひどく懐かしい…。


「どうしたん?自分、目ぇ赤いで?」
「き、昨日飲み会で、散々飲んでたからさ」


シゲに指摘され、咄嗟に嘘をついていた。
誤魔化すようにがばっと起き上がる。


「なんや、二日酔いか。心配して損したわ」
「はは…」
「自分も酒好きやなぁ」
「アナタほどじゃないけどね」
「よう言うわ。簡単に焼酎一本空けるくせに」
「アナタもバーボン一本余裕でしょ。飲んべぇ天使なんだから」
「ははっ」



シゲがくしゃっと目を三日月にして笑う。
つられて俺もいつものように笑っていた。


こうして、アナタと話せて、アナタと笑えるということが、こんなにも嬉しいだなんて…。
やべ、また涙でてきそう…。



「ところで、どしたの?こんな朝早く」
「ちょっとな、仕事の前に寄り道」
「なんかあったの?」
「今夜、来てええか?達也に話したいことあるんよ」


話…という単語にどきりとする。
シゲは静かに微笑んで、まっすぐに俺を見ていた。
その目はどこか悲しげで…でも、とても強い光を湛えていた。


「…いいよ。待ってる」


俺もまっすぐにその目を見返して答える。
シゲは…決意したんだ。
俺も決めなきゃ。迷ってなんかいられない…。