空に還る日【番外編】

ちょっと番外編です。
ラストはこんなシーンで…ってずっと思ってたんですよ。なのに、なんで達也さん目線にしてしまったのか…と実はちょっと後悔してました(苦笑)3人称にすればよかったかも。。


【番外編】



その後―。
オレはとある高台にある公園から、東京の街を見下ろしていた。
あの事故(事件というべきか?)から、はや1ヶ月…。
あの二人はどうしているだろう?
一人はきっと今頃どっかの街に生まれてて…それはもしかしたらこの街かもしれないし、そうでないかもしれない。
もう一人は…あの人の事は忘れて、普通に暮らしているだろう…。



ちょっと切ないけど…仕方ねーよな。
それが二人を生かす為の神様からの“条件”だったんだから…。
あの人も受け入れた事だしね。


しかし、不思議な二人だったな。
でも…ちょっとだけ…羨ましかったかも。
今はまだ別の世界だけど、もう少ししたら今度こそ同じ世界で出会えるよ。
その時にはオレも、同じとこに行けてたらいいな。





「っつか、オレ一人かよ…」
やべぇ、独り言なんか言っちまった…。
実はオレもちょっとした罰を受けてる。
罰っていっても、しばらく一人で仕事しろってだけだけど。
天使ってのも結構忙しいんだぜ?


ま、しょうがねーよな。オレもあの事件に関わってたんだから。




あの時…山口くんが落ちた時、実はオレも近くで見てたんだ。
シゲルくんは助けようと飛んでって…。咄嗟にオレも飛んでってた。
だって、子供一人受け止めたぐらいで、バランス崩して気絶してるシゲルくんが、一人で受け止めれるワケないし。
それに、山口くんにバラしたのオレだし…それでそのままそういう事になったら…後味悪いし…。
少しだけど一緒にいて、シゲルくんがなんであの人に心を許したのか、わかった気がしたから…。



ま、神様も許してくれたっつーより、あいつらのラブラブっぷりに呆れたんじゃないかと思うけどねーオレは。


あの人はオレ達のことはもう何も覚えていないはずだ。
でも、忘れないで欲しい…矛盾してるのはわかってるけど、心の奥ではそう願わずにいられなかった…。


オレもまた出会いたい。
シゲルくんと…山口くんと…今度はみんな同じ世界で…。
そんな日がいつか必ず来るって…信じてる。








…ん??
何か足元でもぞもぞと…。


「な…っ?!」
見ると、5歳ぐらいのガキがオレのジーンズの裾を掴んでいた。
チビはオレと目が合うとにぱぁっと笑った。


「ねえねえ、おにいちゃん天使だよね?!とべるの?!これうごくの?!」
「は?!ちょ…翼ひっぱるなって!」
「ねえねえ、とんで!ぼくもとびたい!」
「何言ってんだよっ!だめ!」
「なんで〜??」
「オレは遊んでる暇はないの。これからお仕事…」
「あのね、ぼく、ともやっていうの!おにいちゃんは??」
「いや、だから…」
「ぼくねーまえにも天使にあったことあるんだよ!」
「…え?」



この後、なぜかオレはずーっとこのチビに引っ付かれる事になる…。
そして、長い長い付き合いになるとは…まだ神のみぞ知る…。




end