【好き】

二人きりの楽屋。
いつもはゲームしたりバカ話したり、うるさいって言われるぐらいなのに。
今日はとても静かだ。
太一くんはさっきからずっと、ぼーっとしてる。
オレに背を向ける形で寝転がって、携帯を弄んだり、雑誌を眺めたり、かと思ったらずーっと宙を睨んで何か考え事してたり…。
なんかおかしいってすぐに気づいた。
何か悩み事でもあるのかもしれない…。


けど、太一くんはこういう時、ほっといて欲しい人だ。
だからオレも何も言わなかった。
太一くんの邪魔をしないよう、ただ静かに目を閉じていた。


「なぁ…」
不意に太一くんが口を開いた。


「はい?」
「お前さぁ…」
「はい…?」
「俺のこと好き?」
「……はい?!」



「どーしたんっすか?!太一くん?!」
オレの素っ頓狂な声に、太一くんが我に返ったようにガバッと起き上がった。


「あ、いや、ゴメン!なんでもない!忘れて!な?」
慌てて謝ると、また元の体勢に戻ってしまった。
その耳が…赤い…。


太一くんは、滅多にオレらに弱みを見せない。
盲腸で入院した時でさえ、弱った姿を見られたくないから病院に来るなって言ったし…。
ひとり舞台をやった時も、泣くから絶対見に来るなって言ってたっけ。
華奢な体に似合わない強気な瞳で、しっかりと前を見据え、ずんずん歩いていく。
国分太一はそういう人。
でも…オレ達は知ってる。
その瞳の裏に、たくさんの涙を隠してること。。


背を向けたまま、掌で顔を隠している太一くん。
泣いているのか照れているのか…わからないけど。。
オレはそっとその背中に語りかけた。


「…好きですよ」
華奢な背中がぴくりと動く。
「好きに決まってるじゃないですか」
「……サンキュ」


その表情はわからないけれど、坊主になって丸見えの耳は、ますます赤くなった気がした。


太一くん、オレは太一くんのこと好きだし、尊敬してます。
時に厳しく、時に優しく、いつもオレを見守ってくれてる優しい兄貴。
元気になったら、また一緒に遊びましょうね。


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…またまたなんでしょう、これ(汗)
でこぼこコンビの絆というか…。長瀬くんに助けられる太一くんというのを書きたかっただけです(爆)
たまにはこんなんもいいんじゃない?ってことで。。^^;